この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
狂い咲く花
第49章 四、昼顔 – 絆
「長いこと冬空の下、雨に打たれたと聞いた。それが引き金になっての高熱じゃろうが…それだけでもあるまい」

玄白は、優しく麻耶の髪を撫でながら告げた。

「美弥の診察をしてきたんじゃから、ふたりに起こった事は全て知っておるよ。その苦しみと戦っておる姿も見てきたんじゃ…。麻耶は頑張っておったな…目を背けてしまえばいいものを、馬鹿正直に真正面から受け止め一人で苦しんでおったよ…その精神的緊張も原因の一つじゃろうて…美弥が全てから目を背けたのと同じじゃよ…麻耶もまた、抱えきれぬ思いが違う形として現れただけじゃ」

「そんな…」

誰もが言葉を失い、そこまで追い詰められていたことを初めて知った。
美弥に限っては、そこまで追い詰めたのが自分なのだと心を痛めていた。

「美弥…自分を責めることはしないことじゃ。悪いのはここにおる大人たちじゃからな。だがもし、悪いと思うのなら、ずっと傍についててあげなされ。双子と言うものは普通の姉妹より絆が強い…きっと美弥の想いは通じるじゃろうて。三途の川を渡る前に声が届くように呼び掛けるといい。美弥の声が届いて渡るのを拒むじゃろうてな」

玄白は席を譲って、麻耶の傍に美弥を座らせ手を握るように伝えると、美弥の背中を優しく撫でていた。

「麻耶…戻ってきて…私を一人にしないで…」

涙ながらに麻耶に声を掛け続けた。
父様も母様も、その姿を見ながら何もできない事を痛感する。
/661ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ