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狂い咲く花
第49章 四、昼顔 – 絆
「他に…できることはないんですか?」

何もできないことが悔しくて、絞り出すように父様は玄白に聞いた。

「汗を掻いたら着替えさせてやることじゃ。そしてこまめに水分を取らせることと…果物の汁でもいいから身体に入れさせることじゃな。それしか今のお前たちにはできんよ」

「そんな…」

項垂れる父様に玄白は冷たく言い放った。

「誰の責任じゃ?こうなるまで放っておいたお主たちのせいじゃろう。手を差し伸べる時は幾度となくあったはずじゃ。それをしなかったお主たちに非はある。自分たちの行動を顧みて、それを正せ。でないと、麻耶が戻ったとしても同じことじゃ」

「おじいちゃまをいじめないで」

ふたりの間に割って入ってきたのは、泣きじゃくっていた蘭子だった。

「母様がこうなったの…蘭子のせいなの…おじいちゃまは悪くないの…蘭子が…蘭子が…」

「ゆっくりでいいから…」

母様は、興奮して言葉がでない蘭子を落ち着かせて話をさせようとする。
背中を擦られて落ち着いた蘭子はゆっくりと話始めた。

「母様に、大っ嫌いって言っちゃったの…何回も嫌いって母様に言っちゃったの。蘭子に笑ってくれないし、昔みたいに遊んでくれないし…夜になるといつも泣いてるのに一人にさせたの。寂しい思いさせたの。今日は…ご飯ひっくり返して…母様にお茶碗やお箸投げつけて…。黙って家を出て父様のところにきたの…」

子供ながらに、追い詰めてしまったのは自分なのだと思っていた。
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