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狂い咲く花
第49章 四、昼顔 – 絆
「和尚よ…どこかにワシの寝床をつくってくれ…朝までは近くにいるとするかの…」

麻耶を囲み必死に声を掛けあう家族を見て、玄白と和尚は部屋から出て廊下を歩き始めた。
激しく降りしきる雨を見ながらこれからのふたりの行く末を案じた。

「美弥も麻耶も良い子じゃのにな…御仏もひどいことばかりする」

「これも何かの試練なのかもしれませんね…それより、あなたが住職になればよろしいのに…私より説得力がありましたよ」

先ほどの父様に向けて話していた姿を思い浮かべて面白そうに口にした。

「お前や弥一郎(父様)と一緒にするでない。この若造が!」

和尚や父様より20歳も上の玄白に頭が上がらないのは昔からの事だった。
ふたりが小さい頃より知っている玄白は、自分の子供のようにふたりを可愛がり時には叱りつけ成長を見続けていた。
どんなに大きくなっても心配するのは今も変わりなかった。

「出来の悪い息子程かわいいというがな」

豪快に笑いながらふたりは暗闇に姿を消した。
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