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狂い咲く花
第49章 四、昼顔 – 絆
次の日の朝になっても麻耶の熱が下がることはなかった。
苦しそうに呼吸をする麻耶をただ見守るだけしかできないことに誰もが歯がゆさを感じていた。

「麻耶…お願いだから戻ってきて」

一睡もせず看病を続ける美弥の身体の方が父様たちは心配だった。
何度も横になることを進めても、麻耶の傍を離れるのは嫌だとつきっきりで看病を続けていた。

「お前が倒れたら意味がないだろう」

「麻耶が目覚めた時に傍にいてあげたいんです…こんなになるまで追い込んでしまったのは私だから…」

許さないと突っぱねることも、許すと手を取ることもできなかった自分の責任だと美弥は思っていた。
苦しんでいる麻耶に手を差し伸べることもせずに、葉月や皆に暖かく見守られながら自分だけが幸せになろうとしていたことに今更ながらに後悔していた。

「誰もが私が悪いわけじゃないと言ってくれます…だけど、辛く苦しんでいるのを知りながら手を差し伸べなかったのは私です…蘭子を連れてきてくれた時に、少しでも話してたら追い詰めることもなかった…。…麻耶は…いつから自分の事を私って言うようになったんですか?」

ずっと気になっていたことを聞いた。
麻耶は私とは言わず自分の事は麻耶と呼んでいた。
それが今日は一度も麻耶とは言わず私と呼んでいたことが気になってしょうがなかった。
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