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狂い咲く花
第49章 四、昼顔 – 絆
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「麻耶…」
目を覚ました美弥は、麻耶の名前を呼んだ。
動くはずもないと思っていた麻耶の瞼が上がり、その目は美弥を捉える。
その目には怯えと絶望が宿っている様に美弥には見え、それを見続けることはできなかった。
かつては、私もそんな目をして麻耶をみていのかもしれないと思い、麻耶はその眼差しを一人で受け止めていたと思うと怖くなった。
「麻耶…ごめんね…」
最初に伝えたかった言葉を口にする。
「もっと早く、麻耶と話をしていればよかったね。……この寺にいるとね。安心して麻耶の孤独を分かってあげられなかった…一人で頑張ってるのは気がついていたのに…。本当にごめんね」
麻耶は美弥がどうして謝るのか分からなかった。
「姉様が謝ることなんて一つもないよ…私が…姉様を傷つけたから…。一人になるのもしょうがないことだもん…姉様に許してもらえるとも思ってない…それだけのこと…したんだから…」
起き上がろうとする麻耶を支えた美弥は、そのまま麻耶を抱きめた。
「姉様?」
「麻耶が目覚めたら一番に謝りたいって思ってたの。きっと…そこまで追い詰めたのは私だから。何も言わずに来てしまった私にも責任があるの…」