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狂い咲く花
第50章 四、杜若 - 幸せは必ず来る
「宝賀…」
振り向くと桔梗紋の麻の上下を纏った宝賀が立っていた。
「生きる道を…選んだんだな…お前も」
寂しそうな目をしながら美弥に近づく。
美弥は逃げることもなく、その目を見つめ返していた。
「…傍にいたいと思ったから…何があっても葉月の、彼の傍にいたいと…」
「そうか」
宝賀は手を伸ばして、愛おしそうに美弥の頬を撫でる。
その手は以前と変わらず優しかった。
「宝賀はどうしてここに?」
「俺か…」
自分の姿を見ながら、やさしく笑った。
「母親の法要だ…」
「えっ…」
宝賀の言葉に美弥は驚きを隠せなかった。
なぜなら、今日の法要は若き地主の母親の法要。
「まさか…」
「ただの遊び人だと思ってたのか?」
美弥の心の中を見透かしたのか笑った。
「だって…」
「牛肉と言い、あの小屋といい…普通の遊び人が手に入れられる代物じゃないだろう」
「そうだけど…」
若き地主と宝賀が結びつかず混乱した頭で一生懸命考えていた。
「まぁ…あの時は地盤を継いでもいなかったしな。」
「そうなんだ…」
納得いかない顔をしながらも無理やり納得しようとする美弥を見ながら、宝賀は改めて口を開いた。
「ありがとな……お前のおかげで弔うことができた…」
素直にお礼を告げる宝賀を不思議な顔で見上げた。
そんな美弥に何も言わずにゆっくりと歩き出した。
その後を美弥は無言でついていった。
振り向くと桔梗紋の麻の上下を纏った宝賀が立っていた。
「生きる道を…選んだんだな…お前も」
寂しそうな目をしながら美弥に近づく。
美弥は逃げることもなく、その目を見つめ返していた。
「…傍にいたいと思ったから…何があっても葉月の、彼の傍にいたいと…」
「そうか」
宝賀は手を伸ばして、愛おしそうに美弥の頬を撫でる。
その手は以前と変わらず優しかった。
「宝賀はどうしてここに?」
「俺か…」
自分の姿を見ながら、やさしく笑った。
「母親の法要だ…」
「えっ…」
宝賀の言葉に美弥は驚きを隠せなかった。
なぜなら、今日の法要は若き地主の母親の法要。
「まさか…」
「ただの遊び人だと思ってたのか?」
美弥の心の中を見透かしたのか笑った。
「だって…」
「牛肉と言い、あの小屋といい…普通の遊び人が手に入れられる代物じゃないだろう」
「そうだけど…」
若き地主と宝賀が結びつかず混乱した頭で一生懸命考えていた。
「まぁ…あの時は地盤を継いでもいなかったしな。」
「そうなんだ…」
納得いかない顔をしながらも無理やり納得しようとする美弥を見ながら、宝賀は改めて口を開いた。
「ありがとな……お前のおかげで弔うことができた…」
素直にお礼を告げる宝賀を不思議な顔で見上げた。
そんな美弥に何も言わずにゆっくりと歩き出した。
その後を美弥は無言でついていった。