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狂い咲く花
第50章 四、杜若 - 幸せは必ず来る
「今日の法要は俺の母親だって言ったよな。…俺が…この手で殺したんだ…」

その背中が震えているのが美弥には分かった。
何かを背負って生きているのだとは思っていた。
その答えが宝賀の口から語られる。

「父親は地主で女癖が悪いと有名だった。母親はその中の一人。どんなに愛しても、父親が母親だけを見てくれるわけなどない。ただの農民の女など。…愛し恋い焦がれ、手の届かない男に心を奪われ…狂っていった。その穴を埋めるために俺に依存し、俺を愛し、俺の身体を求めた…最初は折檻から始まった。両手を縛られ毎日のように叩かれた…そのうち、俺を男として見るようになり、俺を抱くようになった。自分の母親が女になる瞬間を見た時は吐き気がした。今でも夢に見る…。それでも…俺は母親を捨てられなかった…けど、だんだんと俺も狂い…母親を抱いている最中に首を絞めて殺した…」

宝賀は自分の過去を一気に捲し上げる。
誰にも言ったことのない過去を美弥に話す。

「南和と知り合い、いろんな女を襲い犯し侮辱し続けても…ぽっかりと空いた穴が塞がることはなかった…お前と会うまではな」

石の上に腰を下ろし美弥を見つめた。
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