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狂い咲く花
第50章 四、杜若 - 幸せは必ず来る
繋がれた手が離れ、宝賀は葉月に軽く頭を下げてふたりに背を向けて歩き始めた。
その背中に向かって美弥は言葉を放つ。
「宝賀!!あなたもきっと幸せになって。奥さんと…新しく生まれてくる子供と」
その言葉に宝賀が振り向くことはなかった。
その代わりに、宝賀の奥さんが美弥に頭を下げ、ふたりは寄り添うように歩いていった。
その姿がうらやましかった。
これから訪れるであろう、新たな家族と共に歩む未来をうらやましく思う美弥だった。
「今のが隣街の若き地主の宝賀さんだけど、知り合い?」
涙を流す美弥を抱きしめながら葉月が優しく聞く。
「…もうすぐ、父親になるんですって」
どういう関係か話せない美弥は話を濁す。
「数ヶ月で生まれるらしいよ。楽しみだろうな」
父親になる喜びを思い出し葉月の表情はほころぶ。
しかし、そんな葉月を寂しそうにみている美弥には気がつかない。
今、美弥が何を思い苦しんでいるかなど葉月にはわからなかった。
「葉月も、蘭子が生まれたときはうれしかった?」
「うれしかったよ。…望んだわけではなかったけど…生まれたときはうれしかった…その時の事は今でも覚えてる…」
その背中に向かって美弥は言葉を放つ。
「宝賀!!あなたもきっと幸せになって。奥さんと…新しく生まれてくる子供と」
その言葉に宝賀が振り向くことはなかった。
その代わりに、宝賀の奥さんが美弥に頭を下げ、ふたりは寄り添うように歩いていった。
その姿がうらやましかった。
これから訪れるであろう、新たな家族と共に歩む未来をうらやましく思う美弥だった。
「今のが隣街の若き地主の宝賀さんだけど、知り合い?」
涙を流す美弥を抱きしめながら葉月が優しく聞く。
「…もうすぐ、父親になるんですって」
どういう関係か話せない美弥は話を濁す。
「数ヶ月で生まれるらしいよ。楽しみだろうな」
父親になる喜びを思い出し葉月の表情はほころぶ。
しかし、そんな葉月を寂しそうにみている美弥には気がつかない。
今、美弥が何を思い苦しんでいるかなど葉月にはわからなかった。
「葉月も、蘭子が生まれたときはうれしかった?」
「うれしかったよ。…望んだわけではなかったけど…生まれたときはうれしかった…その時の事は今でも覚えてる…」