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狂い咲く花
第50章 四、杜若 - 幸せは必ず来る
遠い日を思い出すように葉月は話す。
「言葉を話せなかった蘭子がトトと呼んだときは涙が出るほどうれしかった。子供の成長は喜びを与えてくれる。」
喜びをかみしめている葉月を見て美弥の心に影を映す。
「麻耶は…葉月に宝物をあげられたのね」
「美弥…?」
漸く、葉月は美弥の沈んだ表情に気がついた。
しかし、その理由は分からなかった。
今、何を思い何を悲しんでいるのか想像もつかなかった。
「子供は宝よね。父親、母親になる幸せを感じることができるって…きっと幸せな事ね」
笑顔で話す美弥を見て、無理して笑っている様に思え抱きしめる。
「親になることだけが幸せじゃない…愛している人が傍にいることが一番の幸せなんだよ。」
「傍に?」
腕の中から顔を上げて美弥は見つめる。
「そうだよ。子供がいても愛する人が傍にいないと意味がない。色んな事は愛する者がいて、その上に積みあがって行く。土台がないと積みあがることもない…美弥がいれば、幸せは膨れ上がる。その幸せは子供だけじゃなく、これからの歩む道にたくさんあると思う。違う?」
幸せは子供だけではない。
そうと分かっていても美弥の心が完全に晴れることはなかった。
「言葉を話せなかった蘭子がトトと呼んだときは涙が出るほどうれしかった。子供の成長は喜びを与えてくれる。」
喜びをかみしめている葉月を見て美弥の心に影を映す。
「麻耶は…葉月に宝物をあげられたのね」
「美弥…?」
漸く、葉月は美弥の沈んだ表情に気がついた。
しかし、その理由は分からなかった。
今、何を思い何を悲しんでいるのか想像もつかなかった。
「子供は宝よね。父親、母親になる幸せを感じることができるって…きっと幸せな事ね」
笑顔で話す美弥を見て、無理して笑っている様に思え抱きしめる。
「親になることだけが幸せじゃない…愛している人が傍にいることが一番の幸せなんだよ。」
「傍に?」
腕の中から顔を上げて美弥は見つめる。
「そうだよ。子供がいても愛する人が傍にいないと意味がない。色んな事は愛する者がいて、その上に積みあがって行く。土台がないと積みあがることもない…美弥がいれば、幸せは膨れ上がる。その幸せは子供だけじゃなく、これからの歩む道にたくさんあると思う。違う?」
幸せは子供だけではない。
そうと分かっていても美弥の心が完全に晴れることはなかった。