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狂い咲く花
第51章 四、虎百合 – 私を愛して
「美弥…すぐに戻ってくるから待ってて」
美弥の寂しさに気がついている葉月は軽く口づけをして和尚がいる本殿に足を向けた。
その姿が見えなくなるまで見送る。
誰も居なくなった部屋は一段と寒さが増した感じがし、一人取り残された美弥は喪失感に襲われる。
「幸せそうだね」
部屋の中を見ていた美弥の背中に声が掛けられた。
それは忘れたくても忘れられない声だった。
怖くて振り向くことも逃げることもできない美弥の背中に衝撃が加わり、部屋の中に押し込まれ、パタンと言う音と共に襖が閉じられた。
「今…幸せ?」
ゆっくりと美弥の傍に近づく足音と心の臓の音が低く鳴る。
「ねぇ…返事してよ…美弥」
徐々に低くなる声に美弥はおびえて顔を上げられなかった。
怯えている美弥を後ろから抱きしめ、クスクスと楽しそうに笑いながら美弥に甘えながら猫撫で声で告げた。
「そんなに怯えないでよ。幼馴染でしょう」
「…みな…わ…」
抱きしめている人物の名前を口にする。
「どうしたの?震えてるよ…僕が怖い?」
どんなに優しい言葉をかけようとも美弥の震えや恐怖が消えることはない。
忘れようとしていた出来事が一瞬にして蘇り、やっと心穏やかに暮らせるようになっていた美弥の心を闇に突き落とす。
美弥の寂しさに気がついている葉月は軽く口づけをして和尚がいる本殿に足を向けた。
その姿が見えなくなるまで見送る。
誰も居なくなった部屋は一段と寒さが増した感じがし、一人取り残された美弥は喪失感に襲われる。
「幸せそうだね」
部屋の中を見ていた美弥の背中に声が掛けられた。
それは忘れたくても忘れられない声だった。
怖くて振り向くことも逃げることもできない美弥の背中に衝撃が加わり、部屋の中に押し込まれ、パタンと言う音と共に襖が閉じられた。
「今…幸せ?」
ゆっくりと美弥の傍に近づく足音と心の臓の音が低く鳴る。
「ねぇ…返事してよ…美弥」
徐々に低くなる声に美弥はおびえて顔を上げられなかった。
怯えている美弥を後ろから抱きしめ、クスクスと楽しそうに笑いながら美弥に甘えながら猫撫で声で告げた。
「そんなに怯えないでよ。幼馴染でしょう」
「…みな…わ…」
抱きしめている人物の名前を口にする。
「どうしたの?震えてるよ…僕が怖い?」
どんなに優しい言葉をかけようとも美弥の震えや恐怖が消えることはない。
忘れようとしていた出来事が一瞬にして蘇り、やっと心穏やかに暮らせるようになっていた美弥の心を闇に突き落とす。