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狂い咲く花
第51章 四、虎百合 – 私を愛して

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それから少ししてから葉月が寒そうに部屋の中に入り火鉢の前で手をこすり合わせる。

「和尚さんがさ。お正月は家に帰りなさいって。家族みんなで過ごして戻っておいでって言ってたよ。それでいい?」

壁にもたれかかっている美弥に声を掛ける。

「うん…」

「その時にさ。前にも話したけど、結婚しますって言おうと思ってる。いいかな?」

美弥の心を知らない葉月はこれからの未来について口にする。
その言葉が今の美弥には辛い。
本当に結婚してしまっていいのかと心は揺らぐ。
先ほどまで元気だった美弥の様子が変だと近寄り、手を取った。

「どうかした?麻耶が帰って寂しくなった?」

美弥は静かに首を横に振り下を向いたままだった。

「んっ?言ってくれないと分からなよ?」

優しく声をかけ、美弥が口を開くのを待つが、美弥が言葉を紡ぐことはなかった。
何を不安に思っているか分からない葉月は優しく美弥を抱きしめた。
言葉などかけずに、ただ抱きしめていた。
美弥が葉月の胸の中から顔を上げて葉月を見つめ、目を閉じた。
葉月は、美弥の頬をひと撫でして、その唇に自分の唇を重ねる。
着物を握る手に力がこもり、美弥の唇が少し開いたのを感じ取った葉月は舌を差し込み絡ませた。
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