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狂い咲く花
第53章 四、桔梗 ー 永遠の愛
葉月が懐かしい人の名を口にする。
死してもなお相手を忘れることのできなかった幸信を。
それと同時に、あの時の会話を思い出す。

『彼女は幸信さんに何度も幸せになって欲しいと言っていましたね。だったら死を選ぶべきではない』

そう告げた美弥に、幸信はこう言った。

『死にゆく人の傲慢です。残された者の苦しみや狂いながら生きる辛さを考えない…普通に幸せになれるほど、そんな生半可な愛情を持ち合わせていないのです。私を見れば分かるでしょう?もし、相手に幸せになって欲しいのなら、死を選ばずに手を取るべきです。そうしないのであれば共に逝くのも幸せだと理解してほしい』

「思い出した?俺にあんなつらい人生を送らせるの?狂いながらも生きろと美弥は言うの?それは余りにも残酷なことだって分かってる?」

美弥はもう何も言えなかった。
幸信の辛さと、その後の人生の道のりを知っている美弥は、もう何も言うことができなかった。
だからといって、生きる道を選ぶこともできない。
葉月の人生を道連れにしていいものかと、葉月の言葉に首を縦に振ることができないでいた。

「それにね…12月の冷たい水の中にいて、足の感覚なんて当の昔になくなってるよ。今更岸に戻る力も残ってない」

一時間以上も冷たい水の中に腰より深く浸かっていたふたりの身体は、動かそうとしても足の感覚が完全になくなっていた。
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