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狂い咲く花
第10章 一、猩々木 - 祝福
「ごめんね。葉月ちゃん…。だけど分かってあげてね。麻耶がいないって分かったときのあの人の気持ち…何かあったんじゃないかって今にも泣きそうだったのよ」
先ほどまでの強い眼差しではなく優しい瞳で謝ってくる。
痛いほど父様の気持ちは伝わっていたから何も言えなかった。
麻耶と葉月を立たせながら家の中に促す。
「とりあえず、中に入りましょう…話はそれからよ」
葉月と麻耶の肩を抱き、三人並んで家に向かう。
向かいながら、この場に美弥の姿がないことに気がついた。
「…美弥は…?」
「寝てるはずよ。心配かけさせたくないから起こしてないの」
葉月の頭を撫でて優しく微笑む。
美弥が起きていないことだけが救いだと思った。
今から話す場に美弥にはいてほしくなかった。
案内されたのはいつもの居間ではなく離れだった。
離れには不機嫌な顔をした父親が先に座って待っていた。
葉月が上がると、閉じていた目を一度開き、また閉じて何も話さない。
「あなた…麻耶には寝るように言って部屋に戻しましたよ。いない方がいいかと思いましたから」
「ああ…聞いても話にはならないだろうからな…それで話とは何だ」
一度も葉月を見ようともしない。
いつにも増して低い声が葉月の言葉を奪っていく。
完全に固まって何も話せない葉月に一段と冷たい声で威圧する。
「さっさと話せ」
先ほどまでの強い眼差しではなく優しい瞳で謝ってくる。
痛いほど父様の気持ちは伝わっていたから何も言えなかった。
麻耶と葉月を立たせながら家の中に促す。
「とりあえず、中に入りましょう…話はそれからよ」
葉月と麻耶の肩を抱き、三人並んで家に向かう。
向かいながら、この場に美弥の姿がないことに気がついた。
「…美弥は…?」
「寝てるはずよ。心配かけさせたくないから起こしてないの」
葉月の頭を撫でて優しく微笑む。
美弥が起きていないことだけが救いだと思った。
今から話す場に美弥にはいてほしくなかった。
案内されたのはいつもの居間ではなく離れだった。
離れには不機嫌な顔をした父親が先に座って待っていた。
葉月が上がると、閉じていた目を一度開き、また閉じて何も話さない。
「あなた…麻耶には寝るように言って部屋に戻しましたよ。いない方がいいかと思いましたから」
「ああ…聞いても話にはならないだろうからな…それで話とは何だ」
一度も葉月を見ようともしない。
いつにも増して低い声が葉月の言葉を奪っていく。
完全に固まって何も話せない葉月に一段と冷たい声で威圧する。
「さっさと話せ」