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少女、アナ
第1章  
その少女は、ネオンが煌々と行き交う人たちを照らす通りの角に立ち、酔っ払いの男相手に声を掛けていた。
私は脱いだスーツを手に持ち、ネクタイを緩め、初夏の夜の繁華街をどこを目指すわけでもなく、歩いていた。
さっきチェーン店の居酒屋で少し飲み始めたが、あまりの騒がしさに居心地が悪く早々に出てきたのだった。
少女は日本人には見えなかった。
浅黒い肌。
べったりとして少し縮れた長い髪。
大きな目。
縁がはっきりとした唇。
身長は150センチもないだろう。
ぼんやりとだが、南の方の国の生まれだろうと思った。
薄汚れたジーンズとTシャツ。
年齢は……わからない……ただ少女であることは確かだ。
そんな子が、中年の男たちに次々と話し掛けていたのだ。
私は見かねて、彼女の前に立った。
今まで話し掛けられていたいた男がいぶかしげに私を見た。
私は毅然とした態度で睨み返すと、男は何度も振り返りがなら立ち去って行った。
少女を見下ろす。
「なにをしてるんだ、君は?」
「ワタシ、イチマン、イチマンヨ……OK?」
たどたどしい日本語だった。
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