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少女、アナ
第1章  
なんてことを……。
こんな外国の女の子が……。
道行く男たちに体を売っているなんて……。
とにかく少女を、ここをゆく男たちの目から隠したかった。
そして今晩は誰からも買われずに済むようにせねばと思った。
私は後先考えず、少女の手を掴み、近くのビジネスホテルのツインの部屋に入った。
フロントで怪しげな目で見られたが、気にしている場合ではなかった。
少女の手を引き部屋に入った。
少女はベッドを見るなり、飛び乗り無邪気に飛び跳ね始めた。
その後ろの小さな窓からは色とりどりのネオンの光が街を染めているのが見えた。
出張で訪れた大都会の歓楽街。
そこは、定年間近の今まで、田舎の小学校で教鞭をとり、ひっそりと暮らしてきた私には、手に負えない深さと暗さ持っていた。
手に負えなくとも、ただこの少女だけは見過ごすことはできなかった。
闇にどっぷりと浸かる前に、助けねばならない、そう思った。
子供たちには明るい未来を用意してあげなければならないのだ。
それが私が長年努めてきた仕事だ。
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