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山猫と狼
第5章 サクリファイス
「それは面倒なことになりますね」
クロードはわざと面白そうに言う。
「それじゃあ、お手紙を書いて差し上げましょうか。フロルの国王殿下に」
クロードの口調は提案というよりも、命令に近かった。
侍女がすぐに紙とペンを用意して、ロイの前に差し出した。
「私はクロード陛下と『協議中』ですから、援軍はよこさないでください。心配ご無用、平和に解決できます、でいかがでしょうか」
クロードは楽しげにそう言うと、部屋を後にした。
「今日は午後から、また『黒の間』で会談しましょう」と最後に言い添えて。
後に残されたロイは、仕方なく筆をとった。
これで、自分から救助の道を潰したことになる。
だが、他にどうしようというのだ。
私が手紙を書かなければそのうち自国の援軍がやってきて、戦争も泥沼化するだろう。
そうなれば、国民だって、兵士だって、家族だって無事では済まないだろう。
私一人のために、多くの命が奪われることになるだろう。
そんなことは、もうたくさんだ。
アレクシアを救うために、私一人が犠牲になればいい。
ロイは深呼吸をし、一気に手紙を書き上げた。
クロードはわざと面白そうに言う。
「それじゃあ、お手紙を書いて差し上げましょうか。フロルの国王殿下に」
クロードの口調は提案というよりも、命令に近かった。
侍女がすぐに紙とペンを用意して、ロイの前に差し出した。
「私はクロード陛下と『協議中』ですから、援軍はよこさないでください。心配ご無用、平和に解決できます、でいかがでしょうか」
クロードは楽しげにそう言うと、部屋を後にした。
「今日は午後から、また『黒の間』で会談しましょう」と最後に言い添えて。
後に残されたロイは、仕方なく筆をとった。
これで、自分から救助の道を潰したことになる。
だが、他にどうしようというのだ。
私が手紙を書かなければそのうち自国の援軍がやってきて、戦争も泥沼化するだろう。
そうなれば、国民だって、兵士だって、家族だって無事では済まないだろう。
私一人のために、多くの命が奪われることになるだろう。
そんなことは、もうたくさんだ。
アレクシアを救うために、私一人が犠牲になればいい。
ロイは深呼吸をし、一気に手紙を書き上げた。