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山猫と狼
第9章 絶頂を迎えて
破れたヴェールの下から、ロイの眩しい肉体が姿をあらわす。


ほんのり漏れる月明かりに照らされ、彼女の白くスラリとした肢体は輝いていた。


クロードは、彼女の奇跡のような美しさに目が釘付けになる。


「これはこれは、美しい。あなたの前では、月の女神も色を失ってしまいます。


昼間に拝見した時も素敵でしたが、夜はまた違った美しさがありますね」


クロードの賞賛に、ロイは頬を染めた。


この私が、美しい?


クロードのうっとり見入った顔を見て、ロイは不思議な気分になった。


女たちは理想の王子様でも見るかのように熱っぽい眼差しで彼女を誉めそやしたが、男に魅力的だと言われたのは初めてだった。


女として男に「眼差される」経験のなかったロイにとって、今まで触れられたことのなかった心の部分を触れられた気がした。


ロイは目の前の鏡に映る自分の姿を見た。


破れた衣をまとう姿は、さながら絵画の中の女神のようだった。


これが、私・・・?

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