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ただ愛されたかっただけなのに
第34章 さまよう心
付き合っていた隆士にさえ送らなかった、と言うか、言ってはいなかったオナニー音源。
英くんに送ってしまった。

「時間が足りなくてオナれなかったけど、可愛い声で喘いでたね」

本当に聞いたんだ。


そんなやり取りの毎日。
隆士より英くんと話す方がずっとずっと楽しかった。
でも会えない距離だから。

英くんとはエロい話もしたけれど、真面目な話の方が多かった気がする。
仕事のことや家のこと。
辛いことや悲しいこと、もちろん楽しいこと。
全て受け止めてくれた。

そんな英くんが仕事で行くと言った先が「その人」の家がある場所。
そして同じ日、本当に偶然家族旅行で私もそこに行くことがわかった。

運命なんて信じてはいないけど、運命だって思った。
「その人」を忘れたくて誰かを探して隆士と付き合って。
なのに英くんに惹かれて。
「その人」がいるかもしれない土地に同じ日に行くなんて。

私はどうしたいんだろう…
誰を愛してるんだろう…

快楽を求めてる?
愛情を求めてる?

私の心は何を求め、どうしたいんだろう…
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