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愛おしい貴方・作品SS集
第17章 星空を見上げるX'mas(契約的束縛)
「だとしたら、何処で見るんだ仁科?」
本郷さんの言い分が最もです。というより、私達の中で一番ノーマルな感性の持ち主が本郷さんなのよ。
ほら元自衛官だけど、ちゃんとした社会人経験者だから。
「それなんですが、X'masはCLUBも休みになりますし、主宰とルークも連れてアルプスの山に行きたいと思いましたね」
「なーなー仁科、冬のアルプスってヤバくね?」
宮野さんも普通の事を言ってるよ。冬のアルプスは、人なんか簡単に遭難しそうな自然厳しい場所、それくらい私でも知っている話なのにもう!
「同じアルプスでもドイツ側、それも本部遺跡の敷地内で道も整備されています。普段は殆ど人は近付きませんが展望台があるんです」
「初めて聞いたな、美波は知っていたのか?」
「概略だけは聞いてますけど、実際に行った事は無いです本郷さん」
全てネット制御の展望台……と教えられた。だから定期点検以外は人も入らないって。でも何故に仁科さんはその場所を選んだのだろう?
「作り始めの頃、あの展望台で泊まり込みの作業をしていましたから、今でも宿泊出来る設備は整っています。私はただ……全員にあの星空を見て欲しいんですかね」
「私はみんな一緒で良いと思います。街からツリーや食料を持って、X'masをやりましょう!」
何となくだけど、仁科さんの心が入って来たの。自分だけではなく、全員で星空を見たい純粋な想い。だから私は仁科さんの提案に乗る事にした。