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愛おしい貴方・作品SS集
第17章 星空を見上げるX'mas(契約的束縛)
◇
懐かしい展望台を一人確認しながら歩く。勿論目的はあるにはある、この場所からでも巨大望遠鏡の写す世界を見られるようにする為。
「確か……これでしたね」
何度も最新に変えてはいても、基本設計は変わらずなので、私は記憶の中にある配線を辿り、持って来たパソコンを繋げられる場所を探して歩いていた。
見つけた場所から配線を借りパソコンとリンク、そこから随時送信されている、望遠鏡の画像を引っ張り出して見た。
「居城では見ていましたが……ね」
目の前にある望遠鏡付近で見れば、その存在感が良い感じで入って来る。昔は白黒だった画像も今はカラーへと変わり、時が移ったと実感させられる事にもなりますね。
「もう昔を懐かしむ事は止めたんですよ」
誰に言う訳ではない私の独り言。懐かしむ事はしなくても、私の記憶の中には未だ残ってはいるんです。
たった数十年、それだけなのに技術は飛躍的に伸び、あの頃の面影のほうが少ない。
「……これで良いですね。電源は予備バッテリーを含めふんだんにありますし、折角集まった3日間の方に集中しますか」
そう、ルークが一人で寝台を回っていました。此方は終わったので向こうを手伝いましょうか?
もう一度だけ私は望遠鏡を仰ぎ見る。語る言葉は無いけれど、思う言葉は1つだけある。
(……今も貴方の望遠鏡が活躍していますよ……悠真……)
そう思うだけで良い。
もうこの望遠鏡を、誰が作ったかなんて関係ないんです。そして……みんなで空気の無い世界を見ましょう。綺麗な綺麗な星の海を……。