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愛おしい貴方・作品SS集
第19章 シークレット~裏~(禁断背徳)

自宅用のパソコン部品が欲しくて、かなり品揃えがいいこのアウトレットモールまでやってきたのだが、偶然にも結城と再会してしまった。今の俺は結城に対してなにも言うことは出来ない、そう約束したんだ。

「でもさ高橋が元気そうで良かった」
「忙しいがな」
「そんなに仕事が詰まってる会社なの?」
「まあ……」

俺がどこに再就職したかやどんな仕事内容なのか、悪いとは思うが一言も口に出すわけにはいかず当たり障りなく結城の話に合わせているだけ。多分結城はまだ他社に行ったと思っているだろう、だがそれでいいんだ、俺はもうクラスター社とは関係がない、そう思わせていればいい。

「暁たちは元気か? アイツ中々煮え切らんだろ」
「高橋、暁は……」
「??」

暁の名を出した途端に結城の表情があらかさまに変わった、なにかあったのか本社内で、それも暁が関係している?

「結城」
「暁はもう本社には居ない、いや誰も暁がどこに転勤になったか知らないんだ。噂だけど……暁が遠藤主任を刺した、こんな話もある」
「は!?」
「事実までは俺は知らない、でも偶々遠藤主任が本社から救急車で運ばれて行くのは見た」
「だが暁と遠藤主任では関連性は低いだろ」
「……これ言っていいのかな、同じ時に俺は見たんだ……倉ちゃんを、遠藤主任が運ばれた病院に倉ちゃんが入って来てそれで……」

(なるほど結城は知らんから)

多分暁が倉原……つまり早乙女のお嬢さまに対してなんだかの行動を起こしたんだろ、それを止めるために遠藤主任が動いた、知っていれば簡単に理解出来る話。俺の時も遠藤主任が慌てて追いかけて来たのは覚えている。ということは上が動いて暁はもう……これ以上は考えない方がいい余計な詮索だ。
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