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愛おしい貴方・作品SS集
第19章 シークレット~裏~(禁断背徳)
本当ーっにこの連鎖反応だけはどうにかして欲しい……じゃなく、バレる前に結城さんをどうにかしなくちゃダメでしょう!
慌てて私は鞄の中にあったスマホを掴み一通のメールを素早く送信、一人で外出といっても絶対に付いて来ていると思うから。
(三十秒掛からずに返信が来るし……)
送信相手はオリバーさん、そして返信は一言『OK』だけ、近くに居て状況を把握しているのが丸わかりだよもう! だけとこれで時間は稼げたと思う。……だから向き合う、高橋さんに。
「あれからどうですか?」
「あれからか……。毎日が忙しい、それに俺がどれだけちっぽけか思い知ったな」
「あの子会社で?」
「あぁ。社長自らコンプライアンスを立て、それを元に数人の開発上位陣が商品基盤を整え、更に俺たちみたいな下っ端にまで企画案を提出させる。通れば一気に昇格出来るチャンスだがそんな甘いものじゃない、俺ではかすりもしないなあれは」
「でも佐伯社長はそれに勝って今の地位を手に入れたんです」
「それも聞いた、あの会長が社長だった時代に同じことをして勝ち上がったのが今の社長だと、そして路線を変えず運営しているとも」
「私もそう聞きました、だからこそ『可能性は残る』会長からの裏の意味」
『可能性はね残してあげたいのだよ』あの時に紀永が言った言葉、その裏の意味は頑張れだったと私は思っている。立場上はっきりとは言えない紀永の回りくどいが嵌められた高橋さんに対する気遣いだったんだよね。
「いつかは可能性を掴んでやろうという気にはなったな」
「それでいいと思います、私もそうして来ましたから」
「天才も可能性に賭けるのか?」
「米国留学は私にとって賭けでした……勝ちましたけど」
「倉原ですらそうなら俺はもっともっと努力しなきゃならん」
「イヤですか?」
「いい刺激だな、本社に居た頃には無かった爽快感というのだろうか? あの頃とは違い気分はすっきりしている」