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裸身
第4章 目覚めた女
扉を開けた。私が目覚める瞬間だった。
『いらっしゃいませ。』
落ち着いた声……
BGMの邪魔をしない、嫌味のない声に促され、私はカウンターに腰掛ける。
『いらっしゃいませ、初めてでいらっしゃいますね。』
『えぇ。スパークリングワインを。』
『かしこまりました。』
実は綾は酒に強くはない。だから、雰囲気の良さそうな店だと思いながらも、扉を開けたことはなかったのだ。
『お待たせいたしました。』
『ありがとうございます。』
一口含む。やはり苦手だ…… ゴクン…
『オレンジジュースです。少し炭酸が強めですから、独特の苦味が楽しめますよ(笑)』
『頼んでいないわ……』
『サービスです。気に入っていただけましたら嬉しいのですがね(笑)お酒は苦手とお見受けしましたが?』
『えぇ…ごめんなさい。このお店、どうしても一度入ってみたかったの。』
『そうでしたか、いかがでしょうか?』
『思っていた通り、洗練された落ち着いた雰囲気で嬉しいわ。でも……』
『はい?』
『アルコールを嗜めない私は来てはいけないわね……』
『おやおや、どうしてでしょう、構いませんよ。いつでもお越しください。』
『まあ、ほんとうに?ありがとうございます。』
マスターとのおしゃべりは心地いい。
オレンジジュースをおかわりした。
ふと、二席程おいた席の葉巻を燻らす男性に目が止まった。
『藤堂様、身元のしっかりしたお方ですよ。』
小声でマスターが教えてくれる。
二杯目のジュースを飲み終え、店を出た。
藤堂さん…
胸が高鳴った。
あの店に行けば、また会えるかしら……
忘れかけていた女の気持ちが、躯中から湧き出るのを感じていた。
恋をしたのだ。名前しか知らない、出会ったばかりの人。
ますます胸が高鳴り、苦しさを覚えた。
週末、再び私は店を訪れる…………………………
『いらっしゃいませ。』
落ち着いた声……
BGMの邪魔をしない、嫌味のない声に促され、私はカウンターに腰掛ける。
『いらっしゃいませ、初めてでいらっしゃいますね。』
『えぇ。スパークリングワインを。』
『かしこまりました。』
実は綾は酒に強くはない。だから、雰囲気の良さそうな店だと思いながらも、扉を開けたことはなかったのだ。
『お待たせいたしました。』
『ありがとうございます。』
一口含む。やはり苦手だ…… ゴクン…
『オレンジジュースです。少し炭酸が強めですから、独特の苦味が楽しめますよ(笑)』
『頼んでいないわ……』
『サービスです。気に入っていただけましたら嬉しいのですがね(笑)お酒は苦手とお見受けしましたが?』
『えぇ…ごめんなさい。このお店、どうしても一度入ってみたかったの。』
『そうでしたか、いかがでしょうか?』
『思っていた通り、洗練された落ち着いた雰囲気で嬉しいわ。でも……』
『はい?』
『アルコールを嗜めない私は来てはいけないわね……』
『おやおや、どうしてでしょう、構いませんよ。いつでもお越しください。』
『まあ、ほんとうに?ありがとうございます。』
マスターとのおしゃべりは心地いい。
オレンジジュースをおかわりした。
ふと、二席程おいた席の葉巻を燻らす男性に目が止まった。
『藤堂様、身元のしっかりしたお方ですよ。』
小声でマスターが教えてくれる。
二杯目のジュースを飲み終え、店を出た。
藤堂さん…
胸が高鳴った。
あの店に行けば、また会えるかしら……
忘れかけていた女の気持ちが、躯中から湧き出るのを感じていた。
恋をしたのだ。名前しか知らない、出会ったばかりの人。
ますます胸が高鳴り、苦しさを覚えた。
週末、再び私は店を訪れる…………………………