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裸身
第4章 目覚めた女
藤堂さんとの待ち合わせ場所まで電車で移動した。まだ、家を教えることにためらいがあった。


『すみません!お待たせしました。』

『行きましょうか。』

『あの…近場で…』

『いいですよ、じゃあ、軽井沢は次回で、ね?軽く流しましょう。』

『すみません……』

『よく謝りますねぇ(笑)』

『すみません…』

『ほら、また(笑)』

『………』

適当に流しながら、藤堂は自分のことを話してくれた。

屈託無くよく笑い、楽しそうだ。つられて笑ううちに、私の中にある一抹の不安は薄らいでいた。


綾は、婚活に疲れ、そのうち仕事に没頭するようになったことや、それと共に自分磨きに消極的になったことなどを吐露していた。


『あなたのような方が増えているのですかね、今じゃ、男性より女性、ファミリータイプより、単身〜2人用のマンションが売れるんですよ。』


『あの……、私、持ってます……』

『そうでしたか、他の皆さんはわかりませんが、綾さんの場合、どうやら守りに入ってますね?』

『返す言葉がありません……』

『これから、私とやり直しませんか?んー、ときめき?っていうものを。』

『藤堂さん…私、いくつに見えます?』

『あはは…私はもうじき50ですが、ダメですかね?』

『ありがとうございます。藤堂さんは本当のダンディですね。ときめきたいです、…豊さんと。』


『では、決まったところで、ランチタイムと行きましょうか(笑)』

『はい(笑)』


藤堂を豊さんと呼べるようになっていた。

サンドイッチとコーヒーで軽いランチをした。

『少し、歩きますか?』

『えぇ。』

駐車場に車を停め、広い公園をゆっくりと歩いた。

綾は、会社の女の子の話をし、自分を変えてくれたと言った。

『過去にお付き合いした男性諸氏は残念なことをしたね。こんなに純粋な素敵な女性に巡り会っておきながらね(笑)』

『私、純粋でも素敵でもないわ。今だって……』

『ん?』

『私を抱いてください!』

綾の中の欲求がはじけた。女の悦びに飢えていた。それを抑え続けた。

今、藤堂を前にして、抑えてきた『女』が目覚めたのだった。




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