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裸身
第5章 志願者
官能的--の主宰者は40代の、一見して冷ややかな感じの男性で………

『来るんじゃなかった!って、後悔してますね?』

挙動不審な律子を見るなり発せられた言葉だった。

『話をしてみて、それからどうするか決めては如何ですか?あ、申し遅れました、官能的SMの主宰をしております、古川直人(ふるかわなおひと)と申します。』


『岡田律子です……』

『はい、それでは岡田さん。少し、お話をしましょう。まず、経験はありますか?』


『あの…、その前に、名前なんですが……』

『実名が基本です。仮名は危険ですからね。よほどのことがない限り仮名にはしません。それでも、その方の本名は把握します。』

『はあ…』

『実名だから、お互いに守らなくてはいけないものが出てきます。嘘の名前では、双方、何があっても泣き寝入り、でしょ?実名は安心の証だと思ってください。どうですか?』

『わかりました。少し安心しました。』


『では、話を戻しますよ。経験は?』



ぽつりぽつりと律子は話し出した。


結婚する前、10年程前のことです………
当時付き合っていた彼の友人に、SMを強要されました。私の彼も興味津々で、その男に私はあずけられました。

私も、興味はありました。でも………

愛情もなく、好きという感覚もない人に、フェラなどを強要されるのは辛かったし、何より、輪姦されそうになった時は、絶叫して拒みました。
そして、彼は私を非難し、結局は別れたんです……


『貴女は、何がしたかった?何が大事だった?』

『………』

『いいですか、このまままた興味だけで始めてしまうと、同じ気持ちになり、辛くなりますよ。』

『ご主人を愛してる?』

『はい…』

『セックスは嫌い?』

『いぇ、嫌いではないです。』

『満足してる?』

『してません……』

『希望を話してもいないね?』

『はい……』

『出直して来なさい。』

『…………』




『あなたのこと、少しわかりました。』




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