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裸身
第5章 志願者
『出直せと言われても、理解できないでしょう。岡田さん、あなたはたぶんノーマルな方です。刺激が欲しいのでしょうね。』

『ノーマル?』

『そうです。SMチックな要素を取り入れたセックスで、たぶん物凄く興奮するでしょう。そして、あなたはSか?Mか?といえば、MでS。極めてノーマル。』

『私はSMを体験できないの?』

『まあ、そうです。でも、もどきは出来ますよ。あなたを官能の世界にお連れしましょう。』

『話がくどくなり過ぎました。』



律子の生理周期や仕事の予定などを考えて、二週間後から始めることになった。




古川は悩んでいた。
律子は、めくるめく官能はSMによって充たされると思っている。

擬似恋愛を体験させて……

律子のためのプログラムが完成したのは、実践を明日に控えたぎりぎりのことだった。


『律子、よく来たね。』

『古川さん、宜しくお願いします。』

『律子、これからは私を直人さんと呼ぶんだ。私は君を律子と呼ぶ。私の大切な宝物になるんだからね。』

『はい、直人さん。』

『では、行きましょう。』


主宰している拠点へと向かう道々、まるで相思相愛の二人のように、身を密着させてたわいのない話をしながら、律子の緊張を解していた。


『このビルに一歩踏み入れたその時から、いよいよ官能の世界ですよ。もどきと言ってもSMです。いいですね?』

『はい。』

なんの変哲もない入口。
エントランスも至って質素。
エレベーターで3階まで上る。


『あっ……』

エレベーターの扉が開くと、そこはまるで異空間だった。

『きらびやかなエントランスでびっくりしましたか?律子、来なさい。』

直人の後ろを追う律子の視界に、次に入ったものは、ブティックのようなスペースと、様々なグッズのスペースだ。

『律子仕様を揃えてある。アドバイザーの指示に従って用意をしなさい。私はそこのソファーに居る。』


律子はアドバイザーに促され、そのスペースへと足を向ける。

小1時間後、M女となった律子が現れた。



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