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裸身
第7章 挑発
ふと見渡すと、はちきれんばかりに屈託無く笑うOLが沢山居ることに気づく。

何の不安も無い、ただ、今を楽しむ姿が悦子には眩しかった。

『いつからだろう……あんな笑い声をあげて楽しむことを忘れたのは……』
独り言を呟いていた。






『悦子ーっ、こっちこっち(笑)』

『久しぶりーっ!(笑)』


悦子の大学時代の友人達。いつもお茶やランチに誘ってくれるのだが、結局予定が組めずに参加出来ないことが多かった。

今回は本当に久しぶりの、悦子にとっては同窓会のような気分だった。



『会社初の女性取締役に大抜擢だって!凄いじゃん、しかもまだ20代だっていうのに。』

『おめでとう!悦子。』

『やったね!さすが、悦子!』

『ねぇ、彼はなんて?』

『………、別れたの……』

『え、えーーっ?!』

『仕事にかまけてデートすっぽかしたり…映画の後に携帯開けると仕事先からの電話が入ってて、そのままバイバイとか……当然…』

『振られました。』

『うん、まあ……』

『もう!バッカじゃないの?!仕事と結婚しなさい的な振られ方じゃん。』

『………』

『あのさあ、悦子ぉ、美人だしスタイルもいいんだから、少しは女しなさいよ。見た目女でも中身おやじじゃダメだって!』

『そんなつもりは無いんだけどなぁ。』



結局、この日、友人達に散々ダメ出しされて出した結論が、スーパーで買い物をして家飯をすることだった。

何故今更家飯なのかよく解らないまま約束させられてしまった。


『ほんとに約束だよ!立ち食いそばとか、一人居酒屋とかやめてよ?』

『解ったってば。』


そんな約束をしたことすら忘れ、悦子はいつも通りの日常に奔走していた。


まさか、翔がそれを見たことも知らずに、その日も居酒屋に入って行った。




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