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裸身
第7章 挑発
悦子の部屋を黙々と見つめる目など知る由もない。

いつも通り部屋に入り、いつも通りの動線を辿る。

しかし今夜は、バルコニーに居る時間が長かった。友人と携帯で何やら話しているのだろう。タバコを吸いながら仕事関係の人と話すとは考え難い。

翔の衝動は常識を逸脱し、盗聴器を仕掛けたい気持ちでいっぱいになっていた。

『ふ…覗きだけでも犯罪なんだな。今夜でやめよう。んー、無理だ!気になる!!』




『痴漢ねぇ…悦子、隙がないからなあ。休みの日とか、ラフなんだけど魅惑的みたいなスタイルで、そう!挑発するような。』

『挑発?!何それ?有り得ないわ!』

『だって、それが手っ取り早くない?あ、でも、男が欲しいーっ、みたいな顔しちゃダメよ。極普通にね(笑)』

『………』

『もしもし?悦子?』

『あ…うん…』

『ねぇ、考え過ぎ。あのね、あたしやマリみたいな感じよ。ね、わかる?』

『あー、それならわかる。それでいいのね?』

『そ。それでいいよ、先ずはね。』

『ありがとう。明日、服を揃えるわ。』

『そうね、明日から三連休、しっかり弾けなさいよ(笑)』




『挑発…ね。弾ける、か。』


悦子は部屋に戻り、今夜はそのまま明かりが消えた。



翌日、アドバイスされるままに服を試着し、バッグや靴を揃え、大量の荷物にフラフラになりながら部屋に戻ったのは、もう夕方のことだった。


『はあ…仕事してるより疲れた感…』

そのままソファーでうとうとしてしまう。
目を開けると、もう部屋は暗くなりかけていた。




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