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裸身
第7章 挑発
翔の居ない部屋はいつもの部屋なのに、やけにガランとして一抹の淋しさを覚える……

見渡すと、朝には無かった隠し刺繍を施したブラウンのプリーツカーテンが、外の景色を遮断している。


『つまんない……』

ふと漏らした一言は、きっと悦子の本音、心からの声だった。


『あっ!翔くん、隠れてるのね!私をびっくりさせる気なんでしょ?さあ、出てらっしゃい(笑)』


シーン…………


『ホントに居ないの…?』


玄関に翔の靴は無く、トイレやクローゼット、バルコニーにも翔の姿は無かった。


『ホントに帰っちゃったんだ……』

いろんな期待や妄想や思い込みで、気持ちを高揚させてときめいていた自分が惨めに思えた。



明かりがついたまま、リビングのソファーで眠り込んでしまい、悦子はそのまま朝を迎えた。



翔はといえば-----------


気分よく帰路に着いた。

『予定通り(笑)』

本音は悦子を抱きたかったし、貫きたかった。
しかし、翔は悦子を焦らした。その方が悦子は躯の渇きと欲情に堪えられなくなると察した。

せっかくのチャンスを逃してしまったかもしれない。
でも、俺の読みが当たっていれば、俺の大学生活は最高にハッピーになる。
翔は後者であることに8割方の確信を持っていた。


『明日からまた楽しみができる。カーテンが開くまで、とにかく勉強に集中しよう!』


翔がなかなかの確信犯であることは明らかだ。






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