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裸身
第7章 挑発
約一週間。

翔と悦子の日常は、それぞれいつも通り、に、みえた。

翔は冷静に日々過ごしている。変わったことといえば、少し学力が上がったことと、ひとりほくそ笑む回数が増えたことくらい。


悦子は随分と変わってしまった。
友人達の願いも虚しく、これまで以上に仕事人間になってしまったのである。

原因は言うまでもなく、翔。
高校生にまでからかわれるほど、自分には女の魅力が無い。
にもかかわらず、勘違いも甚だしく、女を振り撒こうとしてしまった……
そして、見事撃沈。

ならば!

仕事に生きる!
そうして、日々フルパワー全開で活動した。

しかし

虚無感は日々大きくなる。
それを認めたくなくてますます仕事にのめり込む。悪循環以外の何物でもない。


生活のパターンは変わらない。外食は巷のくたびれたサラリーマンと同じ。違うのは、女だということ、お一人さまだということ。

部屋に着くと、服にスプレー。シャワーの後のフェイス、ボディケア。
そして一服とアルコール。

窓は開いても、バルコニーには出ない。無論、カーテンも開けない。

明かりの洩れる様子に、悦子の帰宅は解っても、中の様子は解らない。


『2割で敗北かな…』

勝算があった筈の翔にも不安が忍び寄る。


悦子は、疲れ果てている筈の躯が、それでもなお、熱く疼いてしまうこの状態に我が身を持て余してしまう。


『翔…』


悦子は、意を決して寝室のカーテンを開け、ほの暗い明かりをつける。

ベッドサイドのライトも少し絞って。

バスローブを脱ぎ捨て、ベッドに身を沈めた。


『翔…気づいて…』

明かりの揺らめきに気づいて…

私に気づいて…

この手で乳房を揉んでいるのよ!

あなたのために片膝を立てているのよ!






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