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裸身
第7章 挑発
残念ながら、悦子の寝室は見えない。

翔の家が高台にあるとはいえ、この辺りは杜になっていて、翔の部屋からは、リビングくらいしか見えないのだ。

だから、見えないと思っていた悦子の見解は、ほぼ当たりなのだ。



『あの明かりは多分、寝室だ!俺を誘ってる?!見えてると思って、わざと?』


俺の顔に笑みがこぼれた。

『勝ち。(笑)』

『悦ちゃん、もっと悶えてね。俺、明日テストだし。週末に抱いてあげるから(笑)』



家どころか、メアドもコールナンバーも知らない『翔』で身悶えている。

今が一番辛い時だ。
これを乗り切れば熱は下がる。
熱病に浮かされてるだけ。

悦子は、疼く躯に悶えながらも、そう自分に言い聞かせているのだ。



ONとOFFの切替は素早い。夜な夜な翔を求めながらも、仕事は別。
長い夜との戦いにさえ勝てばゆっくり眠れる。

そういえば2日ほど前から、躯が重いのを感じていた。睡眠不足だった。


『社長、お呼びですか?』

『相変わらず、成績上げてるじゃないか(笑)色落としってのも無く。ん、素晴らしい!』

『………』

『で、だ。』

『はい…』

『夏休みをな。2週間。』

『はい?』

『ここんとこ疲れてるようだと、君の秘書から報告を受けてな。』

『え…でもそれはみんなにも…』

『みんなそうだと言いたいかい?その通り、みんなそうだな。悪い意味も深い意味もない。入社以来ずっと見てきた。少し休みなさい。』

『何か…失敗を…?』

『はっはっは。だから深い意味は無いんだよ(笑)休み明け、新しいプロジェクトを立ち上げる。君にはその統括をしてほしい。休めなくなる。だから、今のうちに今の疲れを癒して欲しい。これが真意、だ。』


『ありがとうございます。……お休みを、いただきます。』



悦子は苦しい休暇に突入した……………





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