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裸身
第7章 挑発
『ごめんよ、悦ちゃん…こんなこと言う気なんか無かったんだ!』

悦子を後ろから抱きしめた。

『離して!』

『嫌だ!』

『離して!お願い…』

一向に離そうとしない翔。
悦子は『ごめんなさい…』と、確かに言った。

『そのまま聞いて。』

悦子は、心にぽっかりと穴が空いたような虚無感に焦りすら覚えていたと言った。

女として、忘れていたときめきが欲しかったと言った。

翔を知って、はしたなくも翔に抱かれる妄想を抱き、払拭するために、自分の中のもうひとりの自分と戦っていた。
でも、翔に会いたい気持ちが日に日に増して、苦しくてしょうがなかった、と。

『もういいよ、悦ちゃんやめて。もう、何も言わないで。』


振り向いた悦子の唇が小刻みに、かすかに震え、迷子になった幼子のようにはかなげに見えた。






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