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暁の星と月
第3章 暁の天の河
その日の晩餐は和やかに楽しく進められた。
グルマンな大紋はジビエ料理を料理人に指示して、礼也をもてなした。
もっぱらの話題は、明後日に礼也の別荘で開かれるお茶会の件だ。
「梨央さんをお招きしたんだ。梨央さんもだいぶ大人になられたから、招待を快くお受けしてくれたよ」
礼也は嬉しそうだ。
「良かったですね、兄さん」
暁は遠慮勝ちに微笑む。
「ありがとう、暁」
大紋は真鴨のローストに器用にナイフを入れながら、尋ねる。
「ではお茶会は梨央さんだけいらっしゃるのか?」
人見知りの梨央を他の招待客と併せる訳はないことは知りつつ念の為、聞いてみた。
お茶会には大紋も招待されていた。
「いや、…あとお一人いらっしゃるよ」
礼也はやや可笑し気に眉を上げて見せた。
ボルドー産の赤ワインを一口飲み、答える。
「梨央さんの従姉妹の麻宮光さんだ」
ナイフの手を止め、大紋は訝し気な顔をする。
「…麻宮光さん…?麻宮侯爵令嬢の?」
暁はカトラリーを置きながら、尋ねる。
「春馬さん、ご存知なのですか?」
「ああ。噂を伺ったことがある。大層お美しく…進歩的なご令嬢だとか。…確か今、パリのリセに留学されているのではなかったか?」
「そうだ。…梨央さんより4歳年上の従姉妹で、14歳からパリのリセに留学されている。…女子学習院は堅苦しいと中退されたらしい」
礼也は愉快そうに笑う。
「今年の夏休みは帰国されて、軽井沢の北白川邸に滞在されているのだ」
へえ…と大紋は感心する。
「確かに随分、型破りな侯爵令嬢だな」
「型破りも型破り。…大変なジャジャ馬だよ」

…まだ光が10歳の時、麻宮侯爵と共に縣邸のお茶会に招いたことがある。
ガーデンパーティー形式だったのだが、口煩いナニーが行儀振る舞いに細かく注意をしてくることに業を煮やした光が、庭の池にいたアマガエルを捕まえ、ナニーの上着にこっそり忍び込ませたのだ。
ナニーは金切声を上げて、テーブルクロスをひっくり返し、お茶会は大騒ぎになった…。

一部始終を見ていた礼也が意味あり気に目配せすると、光はその勝気な西洋人形のような美貌に勝ち誇ったような笑みを浮かべて笑ってみせたのだ…。

「…なんだか…凄い方ですね…」
暁はたじたじだ。
「本当だね。あのお淑やかな梨央さんの従姉妹と思えないな」
礼也は可笑しそうに笑った。
…随分楽しそうだな。
大紋は少し意外に思った。
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