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暁の星と月
第3章 暁の天の河
…ふっと14歳の暁と今の暁が重なり、月城は回想から目覚める。
「…あれからもう3年経ちましたか…。暁様はすっかり洗練されて、どこから拝見してもご立派な貴族のご子息様です」
どれだけ血が滲むような努力をされたのだろうかと、月城は目の前の稀有な美しさを湛える青年を優しく見つめた。
あの頃の暁は美しいがやや野暮ったく、自信なげな少年であった。
今、月城の目の前にいる青年はすらりと背が高く、燕尾服の正装を見事に着こなした一点の隙もない気高い姿をしていた。
そして、どこか艶めいた色香を漂わす風情にも月城は驚きを隠せない。
それはまるで、夜目にも密やかに薫りと美しさを放つ蓮の花のような魅力であった。

「…そうだったのか。…暁が世話になったのだね。僕からもお礼を言うよ」
大紋が暁の華奢な肩に手を置き、抱き寄せるような仕草をした。
やや馴れ馴れしくも感じるその仕草に、月城は若干の違和感を感じた。
礼也の親友で弁護士をしているといういかにも育ちの良さそうな理知的でハンサムな男は、まるで恋人に話しかけるように情感を込めて暁を見つめていた。
「…確かに、あの頃の暁はどこか放っておくことができない…頼りなげな少年だったからな…」
大紋の隠しきれない熱の篭った眼差しを受け、暁はやや戸惑ったように俯き、
「…そろそろ行きましょう。梨央さんたちをお待たせしてはいけないから…」
と、さりげなく促した。

月城は2人の数歩あとを歩きながら、大紋の手が暁の華奢な美しい指をさりげなく絡め取り、一瞬強く握りしめてから離れていったのを認めた。

2人の関係を邪推する気は月城には毛頭なかった。
だが…。
…前を歩く儚いほどに美しい青年は、これから苦しい想いをすることもあるのではないか…とふと予感めいたものを感じ、しかしすぐに彼のためにそれを静かに振り払ったのだった。
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