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暁の星と月
第3章 暁の天の河
「…本当に今日、帰ってしまうのか?」
夕暮れ迫る広い玄関ホールに2人を送りに来てもまだ、礼也は名残惜し気にそう言って暁を寂し気に見た。

お茶会は和やかな内にお開きになった。
梨央は始終楽し気に過ごし、暁とも大紋とも打ち解け、帰り際には
「…暁さんも大紋さんも是非、家に遊びにいらしてくださいね」
と、無垢な笑顔で笑いかけたほどであった。

光は別れ際、礼也に
「…またパリでお会いできるかしら?…別にお会いしなくても、私は一向に構わないのだけれど」
と、つんと顎を反らした。
礼也は可笑し気に笑いながら、恭しく光の美しい手の甲にキスを落とす。
「…女王様のお望みのままに…。いつでも光さんなら、大歓迎ですよ」

華やかで薫り高い高貴な花のような2人は、3人の男たちにそれぞれ違う思いと、しかしその美と気高さへの限りない憧憬の念をしっかり残しながら、美しい執事と共に別荘を去ったのだ。

華やかなお茶会の余韻の中、最愛の弟が帰ってしまうのが寂しいのだろう。
礼也は駄々っ子のように暁の手を握ったまま離さない。
「…私を1人にする気か?寂しくて泣いてしまいそうだよ」
大紋は思わず苦笑する。
「明日、3人で遠乗りに出掛ける約束をしたじゃないか?…そのまま家に泊りに来いよ。今日は夜に暁のラテン語の作文を見てあげる約束なんだ」
「…そんなの家でもできるじゃないか…」
礼也はまだ未練がましくブツブツ呟く。
暁は困ったように、兄を見上げる。
「…ごめんなさい、兄さん。…今日は春馬さんのところに戻ります。明日、一緒に遠乗りに行けるのを楽しみにしていますね」
遠慮勝ちに…しかし、はっきりとした意思表示に礼也はため息を吐きつつ、頷いた。
そして、美貌の弟を愛情深く抱き締めた。
「…成長したんだな、暁…。昔は私にべったりだったのに…」
「…兄さん…」
玻璃のように繊細で美しい暁の顔を見つめながら、優しく囁く。
「…いいよ、行きなさい。…どうやら弟離れが必要なのは私のようだ…」
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