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暁の星と月
第5章 後朝の朝
…賢明だが、面白くない!
大紋はむっとして腕を組む。
…なぜ兄弟とはいえ、自分の恋人が他の男に抱きしめられ、まるでくちづけするかのような距離で見つめ合う濃厚な場面を見せつけられなくてはならないのか…⁈

大紋は咳払いしながら、2人に近づいた。
「…ああ、春馬。来ていたのか」
大紋に気づいた礼也が、明るく笑いかける。
「ああ、お邪魔していたよ。…昨夜は暁と話し込んでいて遅くなったから泊めてもらったんだ」
暁と礼也の前に立つ。
…暁は相変わらず、礼也の貌ばかり見てうっとりとしている。
「それは良かった。…暁は寂しがり屋だから私がいないと寝つきが悪いんだ。…春馬がいてくれて助かったよ」
大紋は片眉を吊り上げる。
「…寝つきが悪い…?」
「…寝る前には私が必ず、貌を見に行くんだ。…出張だとそれが出来ないから、いつもなかなか寝付けないと言われたよ」
「…嫌だ…兄さん…春馬さんの前で…恥ずかしいです」
白い頬を薔薇色に染めて睨むように拗ねる暁は、見たことがないくらいに愛らしい。
「…フフ…私も寝る前に暁の綺麗な貌が見られないと寂しくてね。…だから急いで帰ってきたのさ」
「…兄さん!」
…何なんだよ、このブラコン兄弟は!
大紋は苛々しながら、口を開く。
「それは仲の良いことだな」
礼也は無邪気に暁の肩に手を回す。
「羨ましいだろう?こんなに可愛くて美しい弟は世界広しといえど、そういないからな。…暁は私の宝物なんだ」
暁は感激したように、礼也を見上げる。
その黒く輝く瞳はしっとりと潤んでいた。

大紋は腹立たしく思いながらも、なんとなく腑に落ちた。
…暁の兄に対する恋愛感情は、元はといえば礼也の暁に対する溺愛ぶりから端を発したのではないかと。
礼也が実の弟として暁を可愛がっているのは確かだ。
しかし、礼也自身も気づいてはいないのだろうが、暁の類いまれなる美貌や人を惹きつけて離さない色香に魅せられているのだ。
もちろんそこには肉欲はないだろうが、美しいものを手中に収め、自分が手に触れて観賞し、愛でたいという倒錯じみた感情があるのだ。
それに敏感に気づいた暁が尚更礼也に傾倒したのだろう。
…納得はしつつも、牽制はしておかなくてはならない。
「…暁…昨夜は真冬だというのに虫に刺されたの?…首すじが赤く腫れている」
大紋が暁のうなじにすっと指を伸ばす。
暁がはっと、うなじを押さえた。
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