この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
暁の星と月
第2章 新たな扉
それから、大紋は週に2、3日ほど仕事帰りに松濤の屋敷に寄り、暁に英語を教えてくれるようになった。
大紋の教え方はユニークだった。
暁が勉強したい場所を尋ね、お茶を飲みながらゆっくり寛ぎながら学習を始めた。
そして毎回、銀座の高級洋菓子店のケーキや高級フルーツ店の果物などをお土産に持ってきてくれた。
忙しい仕事の後に時間を割いて貰うだけでも申し訳ないのにと暁は恐縮する。
すると
「気にしないでくれ。…僕は甘党でね。でも男が甘党なんて格好つかないから、外ではあまり食べられないんだ。だから美味しいケーキを買うのは楽しみなんだよ。
暁くん、協力してくれる?」
と戯けて言われ、暁は思わず吹き出してしまった。

礼也の親友だけあって、大紋は明るく快活で、しかもとても心配りができる優しい人だ。
人に慣れるのに時間がかかる暁も、大紋にはすぐに懐いた。
大紋の英語の発音は美しい音楽のようだった。
暁は聴いているだけでうっとりしてしまう。
そう言うと、大紋は照れたように笑った。
「…そんなことないさ。…でも、僕もここで思い切り英語を話せて楽しいよ。日本ではなかなか英語を話す機会がないからね」
暁は無邪気に感心する。
「…大紋さんは凄いですね。英語がお上手で、イギリスの大学院を卒業されて、弁護士さんで…しかも凄く格好良いですし」
大紋は照れ笑いしながら暁の頭をくしゃくしゃと撫でる。
そんなところも礼也にちょっと似ている。
「ありがとう。…でも、僕なんか礼也に比べたら全然だよ。…礼也は頭脳明晰、容姿端麗、スポーツ万能、馬術の名手だし、ダンスもピアノも上手い。あの若さで縣財閥の若社長として辣腕を振るっているし。…なのにちっとも偉ぶらずに誰にでも優しい」
礼也が褒められると、暁は自分のことのように嬉しい。
「はい!兄さんは凄いです!」
暁は力強く同意してしまう。
そんな暁を大紋は穏やかな優しい目で見つめる。
「…暁くんは、礼也が大好きなんだね…」
「は、はい…」
恥ずかしそうに下を向き、たどたどしく続ける。
「…僕は、兄さんに助けて貰えなかったら死んでいたかもしれないんです。兄さんは命の恩人なんです…」
大紋は遠慮勝ちに尋ねる。
「…少しだけ礼也にも聞いたけれど、暁くんは大変だったんだね…」
暁は微笑む。
「…もう、忘れました。…今、僕は兄さんに出会えて兄さんと暮らせているから幸せです」


/479ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ