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暁の星と月
第2章 新たな扉
大紋は暁の笑顔を一瞬見惚れたように見つめ、眩しげな表情をした。
「…暁くんは綺麗だな…」
いきなり容姿を褒められ、暁は赤くなり首を振る。
「そ、そんな!僕なんてちっとも綺麗じゃないです。兄さんも大紋さんもすごく上品で美しいのに…僕は…育ちが悪いから…品がなくて、みすぼらしいだろうなあ…て…」
…と、大紋の手が伸び、暁の顎を優しく捉える。
そして自分の方に向けさせ、真剣な眼差しで言い聞かせるように告げる。
「暁くんはとても綺麗だよ。…僕は初めて君を見た時に驚いた。なんて綺麗な男の子なんだろう…て。こんなにも綺麗な子は初めて見たんだ…」
暁は驚きに目を見開く。
「…大紋さん…」
はっと大紋は我に返り、慌てて手を離す。
唐突な言葉を発した自分を恥じるように少し慌てながら
「…つ、つまり、暁くんには自信を持って欲しいんだ。
…君はとても綺麗だ。育ちなんか関係ないんだから」
と明るく宣言した。
暁はほっとして笑った。
「大紋さんは優しいですね。兄さんみたいだ」
大紋は少し切なげな顔をした。
「…兄さんみたい…か…。暁くんは本当に礼也に夢中だな」
「…兄さんは僕にとって全てなんです。…兄さんは神様みたいな人だから…。あの、良かったら兄さんのことをたくさん教えてください。…兄さんが好きなことや、学生時代のことや…。兄さんのことなら何でも知りたいんです」
そう言って瞳をきらきら輝かせる暁を大紋は穏やかな笑顔で見ながら頷いた。
「…いいよ。僕が出来ることならなんでもしてあげる」
暁の顔がぱっと輝く。
「ありがとうございます!」

…と、その時、窓の外で微かに車が停まる音がした。
その瞬間、暁は立ち上がり小さく叫ぶ。
「兄さんだ!帰ってきた!」
そうして、まるで子犬が大好きな飼い主の帰還を聞きつけたかのように、目にも止まらぬ速さで部屋を飛び出して行った。
大紋は、暁が出て行った方を振り返り、やや寂しげに笑いながら呟く。
「…礼也、君が羨ましいよ」


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