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暁の星と月
第8章 月光小夜曲
「…暁…。言い訳みたいだけれど、俺は百合子と出逢っていなかったら、間違いなく君を愛していたよ。
…なぜなら君ほどに美しく、心を惑わすような魅力的な人は二人といないからだ」
風間が暁を引き寄せ、そっと惜別のキスをする。
それを素直に受けながら、暁は穏やかに微笑んだ。
「…ありがとうございます…。
僕も忍さんが大好きですよ」
そうして暁は自分から風間に抱きつき、耳元で囁いた。
「…僕を温めてくださって、ありがとう…」
別れがたい愛惜の思いが溢れ出し、二人は暫し見つめ合った。
暁が
「…さあ、もう行かれてください。…百合子さんと司くんを幸せにして差し上げてください」
と、笑顔で送り出そうとする。
風間は真摯な表情で頷き、暁の白く滑らかな頬を名残惜しげに撫で
「…じゃあ…」
扉を開けかけ、ふと振り返った。
「…本当はちょっと悔しいから言わないで行こうかと思ったんだけど…」
「…はい…?」
風間はいつもの悪戯めいた艶っぽい眼差しになり
「…暁の青い鳥は、案外近くにいるのかもしれないよ…」
「…何のことですか…?」
不思議そうな貌をする暁に、ウィンクを飛ばすと
「…それが運命の人なら、何れ判るさ」
謎めいた言葉を残し、颯爽と裏口の扉から出て行った。

裏窓から外を眺める。
縣家の黒塗りの車は、風間を乗せると直ぐに動き出し、裏口の道から外へと進み、やがてヘッドライトも見えなくなった。

暁は安堵の溜息を小さく吐いた。
…僕の青い鳥…?
何のことだろう…。
暫し考え、すぐにふっと笑う。

…全く、忍さんは最後の最後まで人を揶揄うんだから…。
やがて、暁は気持ちを切り替え、裏口の扉の鍵を閉めた時だった。

やや緊迫した足音が聞こえ、執事の生田が現れた。
「…暁様、百合子様のご実家のお使いの方々がただいまお見えになりました」
暁は瞳を見開く。
生田の口調はいつものように冷静であったが、ほんの僅かに緊張した様子なのが、その来訪者たちの尋常ならざることを密かに伝えていた。

「お帰りいただきますか?」
暁は少しの間ののち、冷静に答えた。
「…いや、僕が会おう」
正面玄関に続く廊下を歩き始めた暁に、生田が囁く。
「呉々もご無理はされませんように。私も近くに控えておりますので、何かありましたら直ぐにお呼び下さいませ」
生田の言葉に暁は微笑む。
「ありがとう、生田」



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