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暁の星と月
第9章 ここではない何処かへ
暁は静かに口を開く。
「…恋人はおりません。もうずっと…」
月城の視線を感じる。
しかし、彼の眼差しを見る勇気はなく、そのまま伏し目がちに続ける。
「…でも、いいのです。…僕はもう恋をする気はありません」
綾香が優しい姉のような口調で尋ねる。
「…それはなぜ?」
…恋の話は苦手だ。…一番辛い人を思い出すから…。
…なのになぜ、自分はこんなところでそんな話をしようとしているのか…。
「…昨年別れた恋人を…僕は大好きでした。…けれど、最後はその人をとても傷つけて別れてしまった…。多分同じくらいに僕も傷つきました…。
…もうあんな思いをするのはごめんです。…だから…僕は恋はしません。…もう誰も傷つけたくないし、自分も傷つきたくない…だから…一人でいいのです」

綾香がふっと優しい笑みを漏らす。
「貴方のように美しい人がそんなことを仰るなんて、もったいない。…一度くらいの失恋で、決めつけるのは早すぎるわ。
…恋は素晴らしいものよ…こんなにも…」
綾香が傍らの梨央の肩を引き寄せる。
「…お姉様…」
戸惑うような梨央の声を宥めるように、綾香は梨央の陶器のように滑らかな頬のラインを撫でる。

…二人が恋仲だと知っている暁の前だからこそできる大胆な仕草だった。
「…こんなに美しいものを愛でることができるのよ…」
「…お姉様…恥ずかしいわ…」
梨央が白い頬を上気させながらも、早くも美しい瞳を潤ませ、綾香を見上げた。
まるでキスをねだるような眼差し…。
綾香は梨央を見つめながら、暁に告げた。
「…暁さん。…恋をなさるべきだわ。…今の貴方は孤独な宝石のように美しいわ。…恋をして、貴方を心から愛する人に巡り会えた時に、貴方はもっと光り輝いて幸せになるのよ…」
…私達みたいに…
と、美しい音楽のような声で囁くと、綾香は梨央の繊細な花のような唇をそっと優しく奪った。
梨央の微かな叫び声はそのまま綾香の美しい唇の奥深くへと封じ込められ…あとは甘い恋人同士のキスが濃密に交わされたのだった。


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