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暁の星と月
第10章 聖夜の恋人
…あれで良かったのだと思いながらも、まだ心は揺れる。
そんな暁を月城はじっと見つめる。
冷たい表情…何かに憤っているかのような表情だ。
「…暁様は、まだ大紋様を愛しておられるのですね…」
…呆れているのだろうか?
いつまでも一人の男を女々しく忘れない暁を…。
暁はふっと形の良い唇に蠱惑的な笑みを浮かべる。
「…愛しているよ…まだ忘れられない。…だって、春馬さんは、僕の初めての男だからね…」
月城はその答えに眼を見張る。
「…綺麗ごとは言わない…。僕だって生身の男だ。…春馬さんにはセックスの一から十まで全てを教え込まれた。…快楽も幸せも苦しみも哀しみも…全てだ…。
そんな人をすぐに忘れられる訳がない…。…子どもが生まれるのでなければ…僕は春馬さんに付いていったかも知れない…」
月城の端整な貌が苦痛に歪む。
…なぜ、そんな貌をするのだろう…。
僕の性の話など、聞くに堪えないのかも知れないな…。
だから、暁は明るく笑ってみせる。
「…でも、もういい。…もう全ては終わった話だ。
…僕はもう恋はしない。…もう誰も好きにはならない。…僕の恋は…春馬さんで終わりだ…」
「…暁様…」
「だから、僕のことをもう気にかけなくていいよ…。
…今まで、月城はずっと僕を心配してくれていたけれど…もうその必要はないんだ…」
暁は月城を見上げて笑う。
「…私はもう、暁様にとって必要のない人間ですか…?」
そうじゃない。…君にとって僕が必要ないんだ…と、喉元まで出かかった言葉を呑み込む。
「…そうかも知れない…。…僕はもう、一人で生きていくから…君の胸はもう借りない…」
笑ってはいるが、突き放すような言葉…。
月城は、はっと胸を突かれたような貌をすると、やがて見たことがないほどに哀しげな眼をして、暁を見た。
「…そうですか…」
そして、再び全く表情が伺えない能面のような貌に戻ると、恭しく一礼した。
「…ご無礼の数々を、お許しください。…それでは、失礼いたします」
月城のすらりとした背中を見つめる。
…美しい男だ…。
美しく一見冷淡で…
けれど、暁の窮地を必ず救ってくれた温かな手の持ち主だった。
…とうとう、僕には縁がなかったな…。
暁は苦笑する。

遠ざかる端正な背中にはなぜか、はっとするような孤独が漂っていた。
胸が小さく痛む。
暁は気がつくと、呼び止めていた。
「…月城…!」




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