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暁の星と月
第10章 聖夜の恋人
「…力になる…?」
ふっと、暁の瞳から光りが消える。
「…前にも言ったけれど、僕に関心を持つ振りはしなくていいんだ…。…君は…僕を好きでも何でもないんだから…」
「…暁様…!私は…」
月城は珍しく焦れたように口を開いた。
そして、遠慮勝ちではあるが暁に一歩近づく。
「…暫く暁様にお会い出来なくて、心に穴が空いたようでした。…馬場に行けばお会い出来るかと毎週足を運びました。…けれど貴方はお姿をお見せにならなかった。…もしかしたら、体調を崩されているのではないかと、気を揉んでいた矢先、飯塚の地で土砂崩れの事故が発生して、暁様が駆けつけられていると知り…心配で心配で毎日、心が落ち着きませんでした…。ご無事にお帰りになったと伺って、どれだけ安堵したことか…!」
「…月城…」
月城の意外な言葉と熱さに、暁は眼を見張る。
「…暁様は、私をいつも不安にさせる。…こんなことは梨央様でもなかったことです」
僅かな希望を胸に、暁は勇気を振り絞り尋ねてみる。
「…それは…どういう意味なの…?」
月城は腹立たしげに首を振る。
冷静な彼には珍しい仕草だ。
「…そんな…私のこの胸の内を言葉で表せたらどんなに楽でしょう。…言葉では申し上げられないから、苦しいのです」
…やっぱりそうか…。
月城は、僕に気を遣っているんだ。
…だから、本当の気持ちを話せないのだ…。

暁は寂しく合点をいかせ、月城から視線を逸らす。
「…僕は、飯塚で春馬さんに会ったよ…」
「…え⁈」
気色ばむような月城の声が聞こえた。
クリスマスツリーの蝋燭にゆっくりと、火を灯す。
「…顧問弁護士としての仕事をするために来てくれた。…それで…今でも僕を愛しているから、一緒に外国に逃げようと言ってくれた…」
「…どうなさったのですか⁈」
切羽詰まるような月城の声…。
暁は灯りが灯ったツリーを見つめる。
「…断ったよ…。だからここにいる…」
安堵のような溜息が聞こえる。
「…でも、本当は…春馬さんに付いて行きたかった…。春馬さんと、生きていきたかった…」
月城の硬い声が続いた。
「…ではなぜ、ご一緒に行かれなかったのですか…」
暁は天使のオーナメントを優しく撫でる。
「…子どもが生まれるんだ…春馬さんに…」
月城は息を呑む。
「…子どもから父親を取り上げるわけにはいかない…。…春馬さんの子どもを不幸にはしたくない…」




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