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暁の星と月
第12章 堕天使の涙
月城の白いシャツを着て、台所に行く。
下のスラックスは大きすぎたので、履かずに素足のままだ。
シャツの丈が太腿くらいまであるので、いいだろうと判断したのだ。

「…お着替えされまし…」
暁の格好を見て、月城が眼を見張る。
「可笑しいか…?」
急に不安になり、暁は慌てて自分の格好を見下ろす。
「…いえ…あの…あまりに可愛くて…驚きました…」
ぎこちなく答えながらお茶を勧める月城を暁は見上げる。
その瞳を静かに捉え、飾り気のない言葉を贈った。
「…暁様が可愛らしすぎて…戸惑っております」
「…ばか…」
暁は赤らめた貌を見られたくなくて、俯く。
…今日は何だか変だな…。
テーブル越しに月城の長く美しい指が延び、暁の顎を捉える。
「…雨の中、お待ちいただくなんて…。お風邪を召されたらどうするのですか?」
優しい口調…優しい眼差し…。
…もしかして、月城は自分を愛してくれているのではないかと勘違いしてしまう瞬間だ…。

それが辛くて、暁はわざと淫らな眼差しで月城を見上げる。
「…だって…したかったから…君と…」
月城の切れ長の瞳がふっと寂しげに眇められる。
「…僕たちの関係なんて…それしかないじゃないか…」
暁の白く細い指が月城の手を握り、そっとくちづける。
暁の頭上に落ちる月城の溜息…。
「…そう…でしたね…」
…では…と、強い力で引き寄せられる。
椅子から立たされ、貪るように唇を奪われる。
傷つきやすい花のような暁の唇は野獣のように喰い尽くされ、月城の熱い舌で口内を掻き回される。
「…んっ…は…あ…っ…ああ…ん…」
甘い声を上げだした暁の耳朶を噛む。
「…今日はどのようにされたいですか…?お望みのままに、抱いて差し上げますよ…」
低い美声が鼓膜の奥に響く。
「…酷くして… 獣みたいに…犯して…」
我を忘れるにはそれしかなかった。
優しく抱かれてしまうと、自惚れてしまいそうになる…。
月城が恋人で…自分が愛されていると…。

乾いた声が答える。
「…いやらしい方だ…」
そのまま乱暴に壁に手をつかされる。
覆い被さるように月城が背後から羽交い締めにする。
ゆっくりとシャツが捲られ、耳元で薄く笑われる。
「…下着も付けられていないなんて…どこまで淫乱なのですか…」
「…あ…い…や…んんっ…!」
暁の青白くきめ細かな肉付きの薄い双丘が、痛いほど握りしめられる。





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