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暁の星と月
第12章 堕天使の涙
…あと少し…
あと少しで、光の白い背中に触れる…。

…その時、暁の脳裏に月城の面影が浮かんだ。
月城は暁に微笑んだ。
それは北白川邸で、14歳の暁に向けた月城の笑顔だった。
「…暁様…私は、ここにおります…」

はっと我に帰り、身震いする。
…僕は…僕は…何をしようとしていたのだ…⁈
震える手を必死で戻し、胸の前で握りしめる。
…僕は…僕は…‼︎
…なんて恐ろしいことをしようとしていたんだ‼︎

凍りついたように脚を止めた暁の気配を感じたのか、光が降りるのを止め、不思議そうに振り返る。
「…どうかされたの?暁さん?」

その時だ。
態勢を変えようとした光のハイヒールの爪先に長いイブニングドレスの裾が絡まった。
慌てた光は裾を払おうと脚を出した。
しかしそこに階段はなく、光は不意にバランスを崩した。
光が短く叫ぶ。
暁が眼を見張り、咄嗟に手を伸ばす。

「光さん!危ない!」
光が階段を落ちる寸前に、暁は光の身体を抱き止めた。
必死で光を胸の中に抱きしめた暁の身体は、長い階段を止まることなく転がり続けた。

玄関ホールに入ってきたばかりの礼也が、その光景を目の当たりにし、叫んだ。
「光さん!暁!」
礼也が駆けつけると同時に、暁の身体は階下の大理石の床に放り出された。
光は暁の腕の中で守られたままだ。

騒ぎを聞きつけた執事の生田や下僕が慌てて駆け寄る。
「光さん!大丈夫か⁈暁!」
礼也は素早く二人を抱き起こす。

光は気が動転しているが、無傷だった。
暁が身を挺して、硬い階段や床から光を守りきったのだ。
「…わ、私は大丈夫…。なんともないわ。
…あ、暁さんは…?」
暁は目を閉じたまま、微動だにしない。
蒼ざめた貌は息をしているのかも覚束なかった。
「あ、暁さん‼︎しっかりして‼︎」
光が泣き叫ぶ。

礼也は凄まじい形相をし、大声で叫んだ。
「医者を呼べ‼︎…いや、それでは間に合わない。日赤に運ぶ!早く車の用意をしろ‼︎…何をぼやぼやしている‼︎
早くするんだ‼︎」








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