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暁の星と月
第3章 暁の天の河
帰りのハイヤーの中で、大紋はいつもより陽気すぎるほどの明るい口調で話しかけてきた。
「軽井沢ではどこに行きたい?…遠乗りに…いや、合宿で嫌というほど乗っているよね。…ごめん」
すぐに謝る大紋が可愛らしくて、暁は小さく笑った。
「…いいですよ、遠乗り。…大紋さんに色々教わりたいし…」
「いや、駄目だ。真面目な君のことだ。きっとまた真剣に取り組んで、悩んだりするだろう?休暇にならないよ」
暁は苦笑する。
「そんなに柔ではありませんよ。…だって僕は、大紋さんと違って貧乏長屋で育ったんですから…」
「…いや、暁くんはどんなところで育とうと、決して穢れたり失くしたりはしない品位がある。…それはやはり生まれながらのものなのだ」
車内の至近距離で、見つめられる。
改めて間近で見ると、大紋は兄、礼也に負けずとも劣らずの美男子である。
少し長めの髪を流行りの形にセットし、スーツも最新流行の形の舶来品、手首からさり気なく覗く時計はロレックスだ。
分けても、その知的な眉や、涼しげな切れ長の瞳、形の良い高い鼻梁、唇は…やや肉惑的で…見つめているとなぜだかどきどきする。
…兄さんとはタイプが違うけれど、大紋さんも凄く魅力的な大人の男性だ…。
「…ありがとうございます…」
だから、返事もややぎこちなくなってしまう。

…三年前のあの日…。
月明かりに照らされ、薔薇の香気に蒸せ返るような温室で、暁は大紋に抱きしめられ、そして愛を告白された。
…今夜だけだ…。もう二度とこんなことは言わないとの約束通り、あれから大紋は暁にそんな態度を微塵にも感じさせない。
誰から見ても、暁に対する態度は、親友の弟を可愛がる健全なものだ。

…けれど…
その眼差しで、その言葉の体温で…
大紋さんが僕をまだ想ってくれていると思うのは、自惚れだろうか。

…暁は密やかな賭けに出る。
革張りのシートに無造作に投げ出されている大紋の男らしくも美しい手に、そっと自分の華奢な手を重ねる。

暁の手に包まれた瞬間、大紋の大きな男性的な手が静電気に触れたように、びくりと震えた。
暁は構わずにその指と指をゆっくりと絡ませ、握りしめる。

真っ直ぐ前を向いている暁の横顔に痛いほどの熱い視線を感じる。
「…暁…くん…」
大紋の掠れた苦しげな…しかし、熱い情動を感じる声が聞こえた。
暁は何も答えずに更に大胆に指を絡め、強く握りしめる。

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