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暁の星と月
第13章 暁の星と月
…どこかで、風の音が聞こえる…。
暁は夢現のまま、その居心地の良い音に身を委ねる。
開け放たれた縁側から春の夜風がそよぎ、情事に火照った暁のしっとりと汗ばんだ身体を優しく冷やしていく。

…あれから幾度月城に愛されただろう…。
正確に分からぬほど身体を繋げ、お互いを貪るように愛し合った。
最後は褥の外にまで連れ出され、開け放たれた縁側の際で、獣の体位を強いられた。
いくら深夜とはいえ、庭に面した縁側で挑まれることに暁は弱々しくも必死で抗った。

「…いや…恥ずかし…い…こんな…」
泣きながら首を振る暁に、月城は優しく微笑みながらもその柔らかく蕩けた果実のような花蕾に未だ硬度を失わない牡を容赦なく突き入れた。
「…ああっ…‼︎…また…んんっ…‼︎」
白い背中を仰け反らせ、挿入の衝撃に耐える暁を月城はうっとりと見惚れた。

青白い月の光に照らされた華奢な白い背中は、この世のものとは思えぬほどの美しさと妖しさに輝いていた。
体力のない暁は、最早己れの力で体位を保つことはできなくて、細腰を淫らな形で恋人に委ねたまま、うつ伏せに貌を伏せてしまっているのも、その儚げな容姿ゆえに酷く卑猥であった。

ゆったりとした抽送を繰り返しながら、月城は感に耐えたように囁く。
「…暁…綺麗だ…」
「…あ…も…やめて…」
「…こんなに綺麗な貴方を前に、我慢はできません。
…暁…私を受け入れて…」
耳元で艶めいた低い声で囁かれ、耳朶を甘噛みされる。
暁はうっすら開けた瞳で、恋人を睨む。
「…君がこんなに野蛮だったとは…知らなかったよ…」
「お褒めいただき、光栄です…」
月城は包み込むように笑い、尚一層大胆な律動を愛しい恋人に与えた。

あとはひたすら快楽を貪りあった…。
月城が熱く…未だ狭い淫肉に低く呻きながら吐精すると、暁はほぼ意識がないままに小さく身体を震わせ、達した。
磨き上げられた檜の床に、すっかり薄くなった暁の花蜜が僅かに滴り落ちる。
月城は、意識を手放し儚げな花のように崩れ落ちた暁の白い背中に、抜き取った牡からまだ溢れ出る濃く熱い牡液を浴びせかける。
…さながら、この稀有に美しく妖しい恋人を我が物だと誇示するかのように。

暁は熱い精を背中に浴び、無意識に身体を震わせる。
白く散った月城の精に塗れた暁の背中に、春の夜風に吹かれた庭の桜の花弁がひとひら、夢のように舞い落ちた。


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