この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
暁の星と月
第13章 暁の星と月
「ではなぜなのだ⁈…私はお前とずっと一緒にこの屋敷で暮らしてゆきたいのだ!…勿論、お前が結婚して所帯を持つ時までだが…。それだって離れを建てても良いのだし…」

暁は深く息を吸い込むと、兄を真正面から見つめる。
「…兄さん。兄さんにお伝えしなくてはならないことがあるのです。
…僕は…女性は愛せないのです。
…僕は男性しか愛せないのです。…ですから、結婚はできません。子どもを作ることもできません。…兄さんを失望させて、申し訳ありません」
礼也の瞳が信じられないように見開かれた。
「…なにを…なにを言っているんだ…お前…」
…あのバーの一件は誤解だったのではないのか?
礼也は混乱する頭の中で必死に考える。
あの時、月城にはもし暁が同性愛者でも自分は理解すると断言した。そのつもりだった。

…しかし、今、本人からその事実を突きつけられると…
それを肯定も否定も出来ない自分がいた。
情けないがそれが現実だった。

暁は強張る表情で黙し続ける礼也を穏やかに見つめる。
そうして何かを決意したかのように静かに立ち上がると兄の前に進み、身を屈める。

兄の端正な雄々しい貌が目の前にある。
暁を瞬き一つせずに見つめる兄に、そっと呟く。
「…兄さん…好きでした…」

暁の形の良い柔らかな唇が礼也の男らしいやや肉惑的な唇を捉え、包み込むようにくちづけをした。
礼也が眼を見張る。
暁の長く濃い睫毛は目の前だ。
暁のくちづけは甘く切なく嫋々として、まるで淡雪のように溶けていった。

永遠のような…一瞬のくちづけが終わる。
ゆっくりと唇が離される。
礼也は端正な貌を無表情にしたまま、暁を凝視していた。

暁もまた礼也から眼を離さずに口を開いた。
…それは、長い長い罪の告解の始まりでもあった。
「…兄さん…。ずっと好きでした。…僕は兄さんに救い出された時からずっと兄さんに恋をしていました。…兄さんは兄であり、父であり、憧れの人であり、神様でもありました。
…まだ幼い頃…僕は眠っている兄さんにキスをしたことがあります。…キスの意味も分からず…ただ、兄さんと唇を合わせたかったのです。
…兄さんとキスをした幼い僕は…性的な意味で興奮しました。…兄さんを兄としてではなく性の対象として好きだということを自覚し兄さんに申し訳なくて、自分が穢らわしくて、死にたくなりました…」
…礼也は身じろぎ一つしない。

/479ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ