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暁の星と月
第13章 暁の星と月
「…兄さんを忘れよう…これ以上好きになってはいけない…そう思い、他の方に恋をしました。
…その恋は実らなかったけれど、僕は幸せでした。
そして自分が本当に同性愛者だと自覚したのです。
それから、色々なことがありました。辛いことも、苦しいことも…。
…今、僕には愛する人がいます。彼もまた僕を愛してくれています。
…今はまだ名を明かすことは出来ません。
その人に迷惑がかかるかもしれないからです。
けれど、僕はいつかはその人と一緒に暮らしたい。…その人と一緒に人生を歩んで行きたいのです。
…だから…この家を出て、自分の足で、自分の人生を生きて行きたいのです」
礼也は眉ひとつ動かさない。
その表情からは、肯定も否定も賛同も嫌悪も…いかなる感情の僅かな色すらも感じられなかった。

暁は寂しく微笑む。
「兄さんに理解していただこうなど、おこがましいことは考えていません。兄さんが僕に嫌悪されても仕方のないことだと思います。
…ただ僕は、兄さんには嘘を吐きたくなかった。…兄さんには本当の自分を知ってもらいたかった。…けれど、それも兄さんにとっては迷惑な話かも知れません。
…今まで大切に育てていただいて、僕には分不相応な生活をさせていただいて…それなのに…恩を仇で返すような真似をしてしまって、すみません。
…いくらお詫びしてもし足りない気持ちです。
兄さんが僕を疎ましく思われたら、縣家から勘当して下さって構いません。縣商会からも解雇して下さい。
…兄さんのお気持ちをそのまま受け入れます」
…礼也は彫像のように微動だにしない。
暁の貌に薄く落胆の色が浮かぶ。

…覚悟していたことじゃないか…。
兄さんに嫌われるかも知れないことは…。
けれど…
…例え嫌われても…疎まれても…僕はもう嘘は吐きたくなかったんだ。

そう思うと、寂しいながらもどこか吹っ切れたような気持ちが訪れた。

「…それでは、失礼いたします」
きちんと一礼する。
貌をあげても礼也はまだ動かない。
…それが答えなのだろう。

暁は諦観の微笑を浮かべ、礼也に背を向けた。

…さあ、これからどうやって生きて行こう…。
でも、大学も出して貰えたし…一人で生きてゆくことくらいできるだろう。

…それに、僕には…
月城の微笑みが浮かんだ。
…私がいつでも暁様のおそばにおります。

暁は静かに微笑った。
…僕には、月城がいる…。
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