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暁の星と月
第13章 暁の星と月
暁は、新しく作った鍵を玄関の鍵穴に挿し、家に入る。

麻布十番の賑やかな商店街をほどなく抜けた小径の先にあるこじんまりした赤い屋根の瀟洒な家…。
それが暁の新居だ。

「…もっと広い家が良いのではないか?部屋が二階と合わせて六つでは狭すぎるだろう。
…やはり、昨日紹介された広尾のスイス大使の私邸の方にしよう。あそこなら部屋は十以上あったし、サンルームも付いていた」
下見に立ち合った礼也はやきもきと気を揉んだが、暁は
「あそこは僕一人には広すぎますし、立派すぎます。
…ここがいいです」
と、反対を押し切り契約したのだ。

今は神戸で洋菓子店を開いているドイツ人菓子職人の私邸だったというこの家は、こじんまりしながらもモダンと和を取り入れた洒落た住みやすそうな家だった。
狭いながらも庭があり、季節の花々や樹木に囲まれているのも気に入ったのだ。

礼也も最後は、居間をぐるりと見渡しながら渋々と了承した。
「だが、週に一度は松濤の家に顔を出しなさい。…それからその際には必ず晩餐を食べてゆくこと。いいね?
光さんが大層寂しがっていたよ。…なんでもお前の綺麗な貌を見ないと胎教に良くないらしい。あの人は綺麗なものが好きだからな。
…それから、本当に家のメイドや料理人を連れて行かなくていいのか?」
…やはり礼也はまだまだ暁の世話を焼きたくて仕方ないらしい。
暁は微笑って頷いた。
「…知り合いの家政婦を頼みました。…とても気の利く良い方です。その方に通いで来ていただくので大丈夫です」

家政婦は以前、大紋との武蔵野の家で雇っていた糸を頼んだ。
身寄りのない糸は大紋と暁が別れ、暇を貰った後一人で暮らしていたのだ。
糸は口が硬く、余計なことは話さないし仕事も完璧にこなす申し分ない家政婦だった。
彼女のことが気になっていた暁は糸を訪ねた。
そして、また家政婦をして来て貰えないかと打診すると、是非働かせて欲しいとの返事が返って来たのだ。

…ただ、糸が大紋との別宅の家政婦だったことを月城が気にしまいかと暁は恐る恐る尋ねた。
月城は
「…構いませんよ。暁様が信頼される人に入っていただいた方がよろしいですから」
と静かに微笑んでくれた。
暁は胸をなでおろした。
そうして、糸には通いで炊事洗濯掃除の家事全般を頼むことにしたのだ。
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