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暁の星と月
第3章 暁の天の河
その日、どこまでも晴れ渡る晴天のもと、暁と大紋はそれぞれの愛馬に乗り、浅間山の麓の遠乗りを楽しんだ。

大紋は名馬を2頭所有しており、1頭をここ軽井沢の乗馬クラブに移送していたのだ。
栗毛のサラブレッドの名前はランスロット。
良く調教された雄の駿馬だ。
乗馬帽子に白いシャツ、夏用の上着、白い乗馬ズボンの脚は長く、黒革の長ブーツも様になっている。
馬上の大紋は成熟した大人の男性の魅力に満ち溢れていた。
…この人が、昨夜あんなことを…。
昨夜の大紋の濃厚なくちづけや愛撫、耳元に囁かれた淫らな言葉を思い出し、暁は頬を赤らめる。

「…続きは今夜だ…」
朝食の席でそう囁かれたけれど…
…続きって、何をするんだろう…。
暁の心臓がどきどきと鼓動を立てる。
性的に未熟な暁は性行為に関しての知識が殆どなかった。
ましてや男性同士の性行為は、未知な世界でしかなかったのだ。
未知ではあるが、もしその行為をしたら…もう引き返せないであろうことはなんとなく分かっている…。
…本当は少し怖いけれど…
ちゃんと、春馬さんの恋人になるために…僕が出来ることは何でもしよう…。

「…何を考えているの?」
はっと気がつくと、春馬が暁の横に並んで馬を走らせていた。
「…あ…す、すみません…」
自分の淫らな想像を見透かされたような気がして、暁は白い頬を薔薇色に染める。
「…ぼんやり乗っていると危ないよ」
そう言いながら、大紋は馬上から身を乗り出して素早く暁の唇を奪う。
「…んっ…!…春馬さ…」
大紋は涼しげな目元に艶めいた笑みを浮かべ、手綱を巧みに引く。
「…あの丘の上まで競争だ」

大紋が緑の樹々のアーチの下、爽やかに疾走してゆく。
暁はその美しい後ろ姿に見惚れながらほっと息を吐き、微笑んでアルフレッドの首筋を撫でる。
「僕たちも負けていられないよね、アルフレッド」
そうして暁も軽く鐙を蹴り、手綱をしっかりと握り締めると、大紋の後を追いかけるのだった。





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